公益財団法人とよなか国際交流協会

外国人相談あれこれ

第38回 協議離婚制度による子どもへの影響

吉嶋かおり(よしじま かおり)

 以前、勝手に離婚されるケースについて書きましたが、協議離婚制度によって生じている問題について、関西の外国人支援団体と話し合ったところ、日本人夫から勝手に離婚届を出されたケースが少なくないことがわかりました。
 当協会では、最近、労働問題で対応している外国人女性で、日本人男性と国際結婚した6名のうち、なんと4名が、夫に勝手に離婚届を出されていました。
 勝手に離婚届を出すことは、私文書偽造罪、偽造私文書行使罪、公正証書原本不実記載罪といった刑法上の罪に問われる行為です。勝手に離婚届を出した後に結婚していたら、重婚罪になります。しかしこのようにケースが少なくないというのは、これは犯罪行為だという社会的認識が低いのかもしれません。犯罪であるかどうかだけでなく、勝手に離婚された方や、親権者を勝手に指定された子どもにとって、人生を大きく左右してしまう事態が生じていることは、以前に書きました。
 協議離婚制度があるのは、世界で日本、韓国、台湾だけだそうです。見事に日本の旧植民地国に一致します。日本では、夫婦だけで話し合って離婚できればよいけれど、裁判所手続(調停や裁判)は、「大げさなこと」というイメージがあります。しかし、協議離婚というのは、他国と比較するととても特異なものであるだけでなく、大きな問題がある制度なのです。
 特に、子どもに問題の火の粉が大きく降りかかります。現在の協議離婚制度では、子どもの親権者や養育費、養育環境について、子どもの立場を守る視点で適切に協議・決定することを求めていません。それらをきちんと取り決めて離婚する夫婦が少ないのは、養育費の支払いがあるのは約2割だという調査からも明白です。協議離婚制度は、子どもが健やかに成長する子どもの権利を保障していません。それだけでなく、このような制度があるために、子どもの養育は、離婚した後でも父母で責任をもって対応しなければならないのだという社会的認識をつくることを阻んでいるのです。法律や制度が、このような文化をつくっているのです。
 2015年2月22日(日)に、この問題について、法律の専門家を交えてシンポジウムを行うことになりました。外国人が抱える問題は、社会の問題が集約され、明確に現れます。国際結婚、外国人のケースについて提示し、法律上の問題点を提起したいと思っています。外国人のケースから考えていただきますが、日本に住むすべての人に関わる問題です。詳しいご案内は後日になりますが、多くの方のご参加をお待ちしております。

(2014年11月号より)

吉嶋かおり(よしじま かおり)

外国人のための多言語相談サービス相談員。臨床心理士。2006年から担当しています。
どんな相談があるの?相談って何してるの?という声にお応えできるよう、わかりやすくお伝えできればと思ってコラムを書いています。