公益財団法人とよなか国際交流協会

外国人相談あれこれ

第43回 ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレンの日本国籍取得手続き02

吉嶋かおり(よしじま かおり)

 JFC(ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン:フィリピン人と日本人の子ども)の日本国籍取得手続きについての続きです(前回は2016年3月号)。
 Aさんと日本人夫との間の子どもはフィリピンで生まれました。生後間もなく、夫とは連絡が途絶えてしまいました。夫が日本に出生届を出していなかったので、子どもはフィリピン国籍のみでした。数年の後、Aさんと子どもは日本に来ました。子どもは15歳未満でしたので、日本国籍をとるためには、夫の協力が必要でした(両親ともに手続きをしなければなりません)。しかし、何度電話をしても手紙を送っても、夫は全く無視でした。Aさんは遠方の夫に対して離婚を求める調停を起こしましたが、それにも夫は来ませんでした。続けて裁判(審判)となり、そこで離婚が成立し、親権者がAさんに決まって、ようやく、子どもの日本国籍取得申請をすることができました。
 Bさんは、日本人男性と交際中に妊娠し、そのままフィリピンに帰国となり、出産しました。男性とは結婚できませんでした。その後子どもと来日しましたが、当時の男性についての情報はとても少なく、男性を探すことは非常に難しいものでした。覚えていたのは、名前の読み仮名だけと、だいたいの居住地だけでした。その居住地をgoogle mapのビュアーでうろうろしていったところ、なんと彼の家が見つかりました。Bさんは一度訪ねたことがあったので、その家を覚えていたのです。その住所から、弁護士を通して男性を見つけることができました。Bさんの子どもが日本国籍をとるためには、父親の認知が必要です。男性に電話したところ、認知を強く拒否しましたので、DNA鑑定によって調停で強制認知となりました。そうしてようやく、日本国籍取得申請ができました。
 Cさんは日本人男性との子どもをフィリピンで出産した直後に、その男性と結婚し、その後さらに子どもが生まれました。しかしその後、夫と連絡が途絶えました。夫は、下の子どもの出生届は出していました(=父親の戸籍に記載され、日本国籍がある)。日本に来てみると、夫は勝手に離婚し、下の子どもの親権者は父親(夫)になっていることが判明しました。Cさんは、下の子どもの親権者変更を申し立てなければならず、さらに、上の子どもは日本国籍がありませんので、親権者指定を申し立てなければなりませんでした。
 このように、日本国籍取得手続きは、単に書類を提出するだけではすまない人が多くいます。そして、子どもが、日本人の父親の不作為や身勝手な行動によって影響を受けているのです。婚姻状態が続いている場合は、児童扶養手当などを受けられない場合があり、経済的にも非常に苦しい状態にいます。長い時間、複雑な手続き、そして費用をかけて、ようやく日本人となった、このような子どもたちは、実は全体のごく一部で、多くは支援を得られないまま遺棄されているのが現状です。
 相談では、父親捜し、父親への連絡のサポート、調停などの申立てや弁護士との連携から、国籍取得手続きまで、相談者の要望に応じて対応しています。

(2016年7月号より)

吉嶋かおり(よしじま かおり)

外国人のための多言語相談サービス相談員。臨床心理士。2006年から担当しています。
どんな相談があるの?相談って何してるの?という声にお応えできるよう、わかりやすくお伝えできればと思ってコラムを書いています。