2023年1月 en glad laks (エン グラ ラクス)(第7回)
岩根あずさ(いわねあずさ)
みなさんこんにちは!これを書いている11月下旬、オスロは寒くて暗い冬を迎えています。そんな冬の楽しみの一つに、クリスマスに向けて家々が窓辺に飾るオーナメントがあります。
ノルウェーでは夜もカーテンを閉めていない家が多いような気がします。窓辺のオーナメントやキャンドルなどの可愛い飾りが暖かい光と一緒に通りを灯していて、寒い通りを歩きながら心がホッとする瞬間です。一方で、家々の温かい明かりの向こうに見える各家庭の生活感から、ちょっぴりホームシックになることもあります。
そんなときに時々考えるのが、「あなたのホームはどこですか?」という質問です。大学院時代にカナダで受けた研修で、トロントで暮らす世界各地からの移住者のコミュニティを訪問した際、フィールドワークに連れて行ってくれた先生にされた質問です。「ホーム」というのは不思議なもので、そのとき、「改めて考えてみると確かにどこが『私のホーム』なのだろう?」という気がしてきたことを覚えています。私は、生まれ育った土地、学生時代を過ごした街、それぞれを訪れる時、「帰ってきた〜」と感じます。この春、ノルウェーから日本に一時帰国して、またノルウェーに戻った時にも「帰ってきたんだなあ」と考えている自分もいました。
「ホーム」というのは、安全であるという感覚、土地を空間的に理解しているという親近感、コミュニティに所属しているという感覚、より良い生活の機会を持てるという感覚という4つから成り立っているとする説があります(Jansen and Lofving 2009)。ただ、私が「ホーム」と感じている場所は研究が言う4つの定義とはちょっと違っていて、大切な時間を過ごした場所、大切な人と出会った場所、大切な人がいる場所、大好きな景色がある場所など、今の私という存在を形作ってきた経験と深く結びついている場所のような気がします。ノルウェーで迎える3回目の冬、まだまだ「ホームの冬」と言うには慣れない部分もありますが、そんなことを考えながら過ごしています。
皆さんにとっての「ホーム」はどこですか?
Jansen , S. and Lofving , S. (eds) 2009 . Struggles for Home. Violence, Hope and the Movement of People . New York : Berghahn Books .
岩根あずさ(いわねあずさ)
子どもサポート事業(学習支援サンプレイス)でボランティアをしていた岩根あずささんが、2020年7月よりノルウェーで生活されています。日本から遠く離れた地での生活や現地の様子について、あずささんにレポートしていただきます!