2015年07月 アペカカカ!(第4回)
十田麻衣(とだまい)
朝晩は割と冷え込むようになってきて水浴びがだいーぶ辛くなってきたガーナです。えい!と気合いを入れてバケツで一気に水をかけるのが日常です(笑)日本から遠く遠く離れたガーナで暮らし始めて丸一年が経ちます。この一年で喜怒哀楽さまざまなことを経験し、わたしなりに考える『国際協力に携わるために必要な心構え』について今回はお伝えします!
ひとつめは『覚悟』。これはいわゆる“途上国”と呼ばれる国・地域で暮らすことへの覚悟も含まれます(わたしも停電断水はごく当たり前です)が、何よりも『「援助」をしてくれる人という目で見られること』への覚悟が必要です。わたしも頭では分かっていたものの、実際に自分が言われる立場になってみると意外と腹が立ちます(笑)。なぜならば、わたしを一人の人間として見てくれているのではなくて、「カネ」「モノ」として見ていることになるからです。何か「与え」られなければ、存在している意味がないのか?とも感じてしまうこともありました。
次に『自覚』。『「外国人=援助してくれる人」という意識を現地の人に与えてしまっている』という自覚。多くの現地の人からしてみれば、わたしたち「援助」者は、「直接的な努力をしないでも得られた、何かを与えてくれる人」だからです。いつも通り生活していたらモノやおカネを落としてくれる(かもしれない)人がやってきたわけで…ラッキー!といった具合です。それはそうですよね。何もしないで食べ物、物資、そしてお金がもらえるならば、何もしません。ただ待っているだけです。だからなんの理由もなしに、ちょっとしたものでもあげないというのがわたしの基本的なスタンスです。たとえ飴や折り紙、鉛筆などでも。
最後に『責任』。『「援助」を「あたりまえ」のものにしてしまっている事実』に対して責任を持つことです。わたしがここでやることはすべて何かしらの影響を現地の人たちに与え、ゆくゆくは国際協力の現場に立つ人たちにも爪痕を残す可能性があります。だからこそ、やることすべてに対して「本当にそれ必要?」ということをまず問いかけてから、行動するように心がけています。わたしは田舎にある学校を中心にICTの巡回指導をしていますが、パソコンなんて触るどころか見るのも初めて!という子どもがほとんどです。そういう子たちにパソコンを使ってもらうのは一見“いいこと”のように聞こえますが、パソコンはなんの努力もしないで手に入るものではありません。そのこともきちんと伝え、実感として持ってもらうことはわたしの最低限の『責任』だと感じていますが…それだけでいいのでしょうか。わたし自身も明確な答えは…正直なところ…まだ見つかっていません。答えはひとつではないのだろうとは思いますが…。
これはあくまでもわたしの経験に基づく、個人的な意見にすぎません。きっと国や地域が違えば、感じることも違うと思います。いずれにせよ、わたしは少しずつ『責任』を意識するフェーズに入ってきたようです。
十田麻衣(とだまい)
元協会職員の十田麻衣さんが、青年海外協力隊として2014年7月より西アフリカの国、ガーナで活動しています。十田さんからの驚き、発見、感動たっぷりの便りをどうぞ!