第26回 多言語相談サービス5年のまとめ
吉嶋かおり(よしじま かおり)
今月、「外国人のための多言語相談サービス5年のまとめ」を発行します。この報告書は、私が相談事業にたずさわることになった2006年度から2010年度までの5年間の相談についてまとめたものです。
相談事業は、協会設立後まもなくからありましたが、事業報告書をつくったのは今回が初めてでした。私は2005年秋に担当することになり、その後5年が経過しましたので、これを区切りに、事業を振り返り、整理しました。
この5年間で、相談は1643件ありました。1年間に平均約330件です。相談者の8割は女性で、フィリピン人が半分近く、中国とペルーがそれぞれ約1割で、世界各国の出身者からの相談がありました。在留資格としては、配偶者、永住者、定住者で6割を占め、日本に定着して暮らす人々からの相談が多くなっています。
これまでにこのコラムでもいろいろなケースについてお話してきましたが、相談の内容もさまざまで、人が生き、生活する上でのあらゆることについての問題や悩みが寄せられました。この報告書では、どのような人々からの相談が寄せられているか、その相談の内容の傾向や、それに対する相談対応について詳しく述べています。また、相談の背景にある社会的な状況や問題についても触れています。
相談者のプライバシーを守るため、相談では、相談者についても相談の内容についても、決して他にもれないように細心の注意を払っています。それは逆に、多くの方にとっては、「相談事業って何をしているのだろう?」とか、「どんな相談があるのだろう?」という疑問を生んでいるのではないかと思います。この報告書で、多くの方に、外国人相談サービスとはどういうものか、そして、地域に暮らす外国人が、どのような問題や悩みを抱えているのかということを知っていただけたらと思います。
(2012年5月号より)
吉嶋かおり(よしじま かおり)
外国人のための多言語相談サービス相談員。臨床心理士。2006年から担当しています。
どんな相談があるの?相談って何してるの?という声にお応えできるよう、わかりやすくお伝えできればと思ってコラムを書いています。