公益財団法人とよなか国際交流協会

リレーコラム(2015年度~)

2022年9月 en glad laks (エン グラ ラクス)(第6回)

岩根あずさ(いわねあずさ)

 肉や魚、卵、牛乳、はちみつなど動物性の食品を一切食べないヴィーガン食を実践する人が日本でも最近増えていると聞きます。ノルウェーに来てからヴィーガンの食べ物の選択肢が多いことに驚いたのと同時に、外食の際などに気軽にヴィーガンのメニューを選択することができるようになりました。今回は、そんなノルウェーのヴィーガン食事情についてご紹介します。
 ノルウェーでは中規模以上のスーパーマーケットの多くでヴィーガンコーナーが設置されています。そこでは豆腐をはじめ、ヴィーガンのソーセージ、ひき肉、ベーコン、ナゲット、ハンバーガー、チーズ、バター、マヨネーズなど植物性タンパク質となる食品や動物性食品の代替となる製品が売っています。ヴィーガンコーナーにやってくる人のカゴの中をチラリと拝見すると、ソーセージなどの従来のお肉の代わりになるものを買っていく人が多い印象です。
 外食でもヴィーガンの選択肢がたくさんあります。パン屋さんでも、ヴィーガン、ベジタリアン、肉使用の表示がされているところもありますし、カフェでも牛乳の代わりに植物性のミルクに置き換えてくれるところがほとんどです。またオスロではヴィーガン食のみを扱うハンバーガーショップやカフェ、アジア料理などの専門店だけでなく、多くのレストランで肉や魚を使ったメニューと一緒にヴィーガンメニューが用意されています。さらに世界各地の食文化をのぞいてみるとヴィーガンの選択肢はもっと広がります。南アジアや中東料理のお店でも動物性食材を使わないメニューを置くところが多くあります。ヴィーガンという視点から、これまで知らなかった国の料理や文化を知ることができるのも嬉しくて、楽しい側面の一つです。
 ヴィーガンの実践理由は人によってさまざまです。宗教や文化上の理由、健康のため、動物福祉のため、肉を食べることが環境に与える影響を軽減するため…。ヴィーガンに限らず、いろいろな食の選択肢が増えていけば、よりたくさんの人が一緒に食べる楽しみを分かち合えるだけでなく、地域全体が食を通じて多様で、豊かになっていくことにもつながります。そして、私たちが口にしている食べ物が作られた背景、生産者について、異なる食文化についてなど、さまざまなところに視野が広がっていくことも、食べることの楽しみなのかもしれません。

岩根あずさ(いわねあずさ)

子どもサポート事業(学習支援サンプレイス)でボランティアをしていた岩根あずささんが、2020年7月よりノルウェーで生活されています。日本から遠く離れた地での生活や現地の様子について、あずささんにレポートしていただきます!