公益財団法人 とよなか国際交流協会

リレーコラム(2015年度~)

2023年5月 en glad laks (エン グラ ラクス)(第8回)

岩根あずさ(いわねあずさ)

 4月と5月のノルウェーでは大切なお祝いが2つあります。

 一つ目は4月のイースターです。キリスト教の復活祭であるイースターは毎年、春分の日を過ぎた最初の満月の次の日曜日です。ノルウェーではその前後も祝日となっており、イースターの3日前の木曜日からイースターの次の日の月曜日までが祝日です。学校はイースターがある週の月曜日から休みのところが多く、大人もそれに合わせて有給休暇を取る人が多いようです。多くの人が旅行やヒッテと呼ばれる山小屋に行ったり、家でゆっくり過ごしたりするので、街はいつもより静かな感じがします。ノルウェー語でイースターはpåskeといい、この時期、誰かと話したり会ったりした時の別れの挨拶は”God påske!(ゴッ・ポースケ:良い復活祭を!)”です。

 二つ目の大切なお祝いは5月17日の憲法記念日です。長くデンマークの支配下にあったノルウェーはナポレオン戦争の結果、1814年からスウェーデンの支配を受けることになりました。その際、スウェーデンによる支配に反発して、ノルウェー独自の憲法が作られたのが同年の5月17日でした。人々の抵抗も虚しくノルウェーは1905年までの間、スウェーデンの支配下に置かれることとなりました。興味深いことに、ノルウェーではスウェーデンからの独立が認められた6月7日は祝日にはなっておらず、初めに憲法が作られた5月17日をお祝いします。この日は、朝から子どもの吹奏楽団、市民吹奏楽団の大規模なパレードやbunad(ブーナッド)という伝統衣装に身にまとった人や国旗を持った人が大通りを埋め尽くしてお祝いします。

 それぞれ異なる由来を持つ二つのお祝いですが、共通することがあります。それは、どちらのお祝いでも家族や友人、近所の人と時間を過ごす人が多いということです。「復活祭の朝ごはん」と呼ばれる朝食を共に囲んだり、朝からシャンパンでお祝いしたり、多くの人が祝日を大切な人との時間を過ごす日にしています。また、どちらの祝日でもスーパーマーケットやデパート、一般的なお店が数日間閉まるという共通点もあります。日本で暮らしていた時、祝日といえばショッピングセンターや商業施設は書き入れ時と言わんばかりに混雑していたような気がしますが、ここでは少し違った時間の流れを実感しています。

岩根あずさ(いわねあずさ)

子どもサポート事業(学習支援サンプレイス)でボランティアをしていた岩根あずささんが、2020年7月よりノルウェーで生活されています。日本から遠く離れた地での生活や現地の様子について、あずささんにレポートしていただきます!