公益財団法人 とよなか国際交流協会

なんぢゃ・カンヂャ・言わせてもらえば

第103回 札幌・旭川でブックトークしました!

皇甫康子(ふぁんぼ・かんぢゃ)

9月2日、エルプラザで『札幌 家族写真をめぐる私たちの歴史 at サッポロ In アイヌモシリ』のトークイベントが開催されました。今回は札幌在住の原田きくえ公久枝さんをはじめ、東京や大阪、姫路から執筆者5人と編集の岡本有佳さんが加わり、豪華イベントになりました。他の集会とも重なり、参加人数は少なかったのですが、写真ワークでは、まさしく写真に写らないお話を聞かせてもらって、新しい発見がたくさんありました。写真を持ってきてくださった参加者に感謝です。
 続く3日には旭川の「チーム今だから」の主催で「こどもふうきどう富貴堂」のメンバーの人たちが準備してくださり、ときわ市民ホールで40名近くが参加してくれました。ミニ展覧会もし、ここでも写真ワークは、質問しながら進められ写真だけでは分からない出来事を参加者みんなで共有することができました。
 両日とも、交流ナイトが素晴らしく、原田さんがアイヌの歌と踊りをレクチャーし、私がチャンゴのリズムやアリランの歌、踊りなどを教えました。すごくうけたのが、ウィターナゲさんと私の即興コントでした。札幌で道を聞くと、親切な男性がウィターナゲさんをみて、「日本語上手ですね、どこから来たの」と質問。彼女は一生懸命、自分は大阪で生まれ育ち、大阪からきたのだと説明しますが、面倒くさいと思った私は、他人のふりして、どんどん離れて歩きました。後で、彼女から「逃げましたね」と言われ、「私は名乗ると、未知との遭遇みたいな顔されるけど、どちらがましかな」と返し、二人はため息をついたのでした。見た目で外国人とわかるスリランカ国籍のウィターナゲさんが、何も注文していないのに、「カレーうどんですね」と店員さんに言われたことなど、みんなで思いっきり笑い飛ばしました。笑った後には、ステレオタイプについて話をし、自分の中の思い込みや偏見を確認することができました。そういえば、「大阪の人はキツイねえ!」とも言われました。
 執筆者たちが互いの話を聞き、知らなかったことや、そうだったのかと納得したことがたくさんあります。原田さんの胸を突く話を聞き、アイヌへの差別なんかまだあるのかとか、はじめてアイヌの人の話を聞いたという、北海道出身や在住の参加者の声に驚きました。家族写真をめぐる24人の多様な女性たちの言葉が、今後も「何も知らなかった」という人たちの心の扉を開いていくのだと思います。次は沖縄に!

皇甫康子(ふぁんぼ・かんぢゃ)

1957年大阪生まれ兵庫育ちの在日朝鮮人(朝鮮人は民族の総称)。
在日女性の集まり「ミリネ」(朝鮮人従軍慰安婦問題を考える会)代表。
「家族写真をめぐる私たちの歴史-在日朝鮮人、被差別部落、アイヌ、沖縄、外国人女性」責任編集。2016年、御茶の水書房刊。
小学校講師。
家族写真を使って、個人のルーツや歴史を知り合うワークを開催している。